フランスで初めて夏を過ごした時は
海沿いの潮の香りや気だるい熱気
ギラギラとした太陽がとても恋しくて
学校で「好きな花は?」と聞かれ
「ハイビスカス!」と意気揚々と答えた
先生に「イビスキュス!!」と読み方を訂正されたけど
なんでそんな亜熱帯の花好きなの?と
思ったに違いない
そんな少し物足りない夏を終えて
帰国してみれば
今度は心地よい乾いた風が
さらさらと肌の上をすり抜け
いつまでも暮れないフランスの夏の日が
懐かしい
「パリの夕暮れ」という名のスープ
初めて耳にしたのは30数年前ホテルに勤務していた頃
なんてロマンティックな名前
コンソメジュレがとろんと固まりかけた頃
ヴィシソワーズを静かに流し入れる
もやもやと曖昧な二層が織りなす
パリの風景
やはりこの街にはバラが似合う
…艶やかな果実にはリキュールと程よいスパイスを…
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